ハタケ(システムエンジニア→ITコンサル)の日常とナレッジ展開ブログ

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業務部門側も知っていると役に立つ情報 第2章 ~会社の業務や部署、フロント・バックオフィスの違い~

今回は「業務側も知っていると役に立つ情報」について、書いていこうと思います。何故これを書こうと思ったかというと、私が仕事をしている中で業務担当者とシステム担当者の話が噛み合っていない場面に多く遭遇しており、その原因として双方がお互いの事を知らな過ぎている事が大きな要因であると感じているためです。そのために業務部門の方がシステム部門が考えている概要を知れたり、システム部門側が業務部門側が考えている事の概要を知れたらいいなと思い、書く事にしました。今後、市民開発と呼ばれる業務部門側でアプリケーション開発を行っていくための役割や業務部門側で扱うシステムやツール検討に深く関わるビジネステクノロジストという役割の人に必要な知識になると考えます。

 

「システム部門の人とよく話が噛み合わない」「システム部門が何を考えているのか分からない」「市民開発者として今後活躍していきたい」という方には是非このブログを読んで頂ければと思います。

 

 

下記の内容を順番に書いています。この記事は第2章です。下記3点を知ることで、自分が担当している範囲やその他の繋がりがある部分の仕事の流れを想像できるようにするための知識の説明記事となります。何故この記事を書いているかや、各章で説明している内容が何の役に立つかは別の資料で説明しているので、まずはこちらを見て頂ければと思います。

 

 



<第2章の内容>
①自分が働いている会社とはそもそもどういう組織なのか
②会社の中にはどんな業務が存在しており、関係性を持っているのか
③部署や課はどんな必要性があって存在しているのか

 

ブログ連載内容】

 

【目次】

 

第1章は下記の記事です。会社内のシステム構造(アーキテクチャ)とその歴史について説明しています。昔から今を辿る事で、将来の予測に役に立ちます。1章を読んでいない方は是非1章から読んで頂ければと思います。

 

syachiku-inu.hatenablog.com

 

株式会社とは

まず会社の業務を説明していく前に株式会社について説明していきます。株式会社は株式を発行して、投資家から資金を集めて事業活動を行う会社です。よく会社は船事業を航海で例えられる事があります。航海の指揮を取る船長が社長、船員が社員、船の設備等を出資する人達(オーナー)が投資家であり、航海の先で宝を見つけたり、魚を捕獲したり、物を運んで届けたりと事業の結果で得た収益から費用(従業員の食料や船の燃料)を引いた利益を従業員や投資家達に分配して、活動が成り立っています。投資家は航海に必要な資金を出資するために一時的に資産が減りますが、自らが危険な航海をする事無く、他の投資家と協力する事もでき、利益が出れば出資した資金以上の報酬が得られます。航海には海賊に襲われたり、難破したり、何も収穫が無かったりと様々なリスクが存在します。

 

レッドオーシャンブルーオーシャンという言葉を聞いた事がある方も多いのではないかと思います。レッドオーシャンは市場(宝や海産物がある海の場所)に船が大量に存在し、競争が激しい既存市場の事で、ブルーオーシャンは競争のない未開拓の海(市場)の意味を持っています。株式会社の起源が貿易の会社だったため、市場を海で例えられて生み出された言葉なのではと思います。

 

 

現在会社を含む企業には、社会的責任(CSR)というものが存在し、過去の世界的な人権や環境問題を是正するために利益の追求だけではなく、社会や環境に対する責任が強く求められられています。


<社会的責任(CSR) の定義>

①健康及び社会の繁栄を含むを自足可能な発展に貢献
②ステークフォルダーの期待に配慮
③関連法令を遵守及び国際行動規範の尊重
④組織全体に統合され、組織の関係の中で実践する行動

 

 

また、会社については日本では2007年に会社法という、会社の設立、組織、運営および管理について定めた法律(会社法第1条参照)が全面施行されており、不正な取引や虚偽の報告、賄賂等違反している企業に対して、罰則が課せられて、社会的信用が落ちたりと不利益が生じる仕組みが存在しています。

 

会社内の主な業務や部署について

続いて多くの会社に存在する業務について、説明していきます。会社の事業(漁業や情報通信業等)毎に業務内容が変わってくるものがありますが、多くの会社に存在する主な業務は下記のものがあります。

 

経営企画・・・経営計画の立案や進捗管理、組織再編、業務提携等経営課題に取り組む業務

財務・・・企業が成長を続けるためにはどうすればいいか具体的な資金計画を立てる業務

企業会計・・・企業内のお金の出入りを管理、報告する業務

 財務会計・・・株主や投資家等外部利害関係者宛の報告目的の会計業務

 管理会計・・・企業内部の経営管理者を対象として、意思決定や経営管理に役立つ情報提供を目的とする会計業務

人事・・・給与や労務、採用等人に関わる業務

法務・・・契約書のチェックや法的手続き企業の法律に関わる業務

総務・・・会社の人が働く場所や、事務机や椅子といった備品管理や雑務をする業務

営業・・・新規・既存顧客とのコミュニケーションを行い、自社のサービスの購入や拡大に繋げる業務

販売管理・・・受注、請求、発注、仕入、在庫管理等、販売に関わる業務

購買管理・・・適切なタイミングで必要な分のみ購入する等、資材の購入に関する業務

情報システム・・・情報システムの企画、構築、運用・保守、サポート・ヘルプデスクの業務

 

上記のような業務は、情報の流れが下記図のように関係性(※1)を持っており、企業会計は事業状況(※2)を外部公開向けの決算書として見える化するために、様々な業務の情報が集められてきます。上場企業に対しては、この公開する会計情報が正しいかどうか外部監査人によってチェックされます。

※1 流れのイメージであり全ての会社がこの流れの様になっているわけではありません

※2 事業のためにどれだけお金を使ったか、他人から借りている資産(負債)、株主からの出資と利益の蓄積状況、どのような収益や費用があって、結果としてどれだけ利益がでたかや、会社の現金の増減状況等の情報

 

出典:ITによる変革の方法論集あるITコンサルタントツールボックス ITマネジメント編(https://www.itgi.jp/application/files/7316/0862/6794/14IT.pdf)

 

 

業務には「製品・サービスを開発して製造する流れ」「セールス活動して製品・サービスを販売する流れ」「戦略を考えて実行する流れ」のような流れが存在し、複数の人や部署が関係してくる事があります。この特定のアウトプットを作り出すための一連の活動・工程をプロセス(業務プロセス)と呼ばれています。私は企業内のプロセスを見る時に、川の流れのようにどんなプロセスが存在し、それぞれどのように始まって、どこで活動は終わり、何がインプット・アウトプットされて、その際に扱われるデータはどんな媒体(紙やデータ)、形式(Excelやデータベース)なのか、その時点や最終的にどんな価値があるのか考えてみています。

 

自分の担当している業務プロセスの上流はどうなっているのか、下流はどうなっているのか知るだけでも業務の改善ポイントや間違いに気付きやすくなります。具体例をあげると「作成しているレポートが実は誰も見ていなかった」のような事に気付きやすくなります。業務担当者目線では、まずは自分の川はどういう流れになっているのか、自分の関係している他の川は何があるのか抑えて、自分の担当している川の流れの前後と最後の部分から詳細理解していくのが良いと思います。

 

【⇩プロセスの川のイメージ】

 

 

続いて部署に関して説明します。部署のように組織を分けるのは上記の業務の専門性や効率を高めたり、組織の指揮命令系統を確立したり、責任者を設けて部署毎にリスク対策をできたり、責任範囲を分けたりする事が可能になる利点があり、多くの会社が複数に明確に分けて組織を作っています。「私の部署は人事部だから人事の仕事をやるんだ!」と担当になった人やチームも自分達の役割を理解し易いですよね。

 

出典:部・課・室・係など組織図の種類と違い - 社会人の教科書 (business-textbooks.com)

 

 

バックオフィスとフロントオフィスとの違い

フロントオフィスは「顧客と直接やりとりする部門」を意味しており、営業や窓口担当者、コールセンターのオペレーターの業務が該当します。バックオフィスはフロントオフィスではない、人事、経理、法務、財務、総務の業務が該当します。会社は顧客とやり取りをする人も経理のような業務を行う人も必要であり、それぞれで必要な知識やスキル、役割が異なっており、必要な役割をそれぞれが業務遂行する事で会社は存続していく事ができています。

 

バックオフィスのシステムが進んでいる世界観

バックオフィスの業務で使われているシステムには、財務会計システム、管理会計システム、生産・在庫管理システム、人事管理システム、購買管理システムが利用されていたりします。フロントオフィス側にも顧客管理システム、問い合わせ対応用のシステムがあったりと、現代社会ではほとんどの部署や人が何かしらのシステムやツール等の情報技術を扱う事が一般化してきています。それに伴い情報システム部門の業務務範囲は拡大、業務量は増加しています。第5章でも説明していきますが、市民開発やビジネステクノロジストが求められる背景の一つに誰もがシステムを使うようになり、更に求められるビジネススピードも速くなってきており、既存の情報システム部門の体制ではついていくのが難しくなってきている事が挙げられます。

 

 

システムは第1章で説明したように業務を効率的に改善したり、従来の手法では出来なかったことを実現するために主に使われ、現在では効率化や改善に留まらず利益を生み出す所まで活用が広がり、進化を遂げてきました。今後は、AIやデータ連携、各作業のワークフローの自動化の分野が更に進んでいく事で、情報を紙や画面経由で人が手作業によって連携したり、データを集めて整理・分析する業務は、人がやるべき箇所以外は様々なシステムや自動化技術によって自動化されていく流れが加速していくと考えます。自動化されない人がやるべき(人に任せる)仕事とは何だろうかと考えた時に、私は下記のような視点があると考えます。

 

①人にしかできない視点

AIやその他の革新的な技術に置き換える事ができない作業。人が考えて、創意工夫して都度柔軟な対応が必要になる作業。

②監査や内部統制に関わる視点

⇒リスクを効果的に低減させるコントロールしている部分に人の確認や承認や判断が必要な作業ではないか、人以外に置き換えても説明責任を果たせるか。

③社員の成長に関わる視点

⇒社員の成長ステップに問題を起こすようにならないか。成長していくためには必要な作業ではないか。

従業員満足度を高める視点

⇒従業員の満足を高める、維持に繋がる作業か。社員がいきいきと働ける作業か。

顧客満足度を高める視点

⇒人が行う方が顧客の満足度向上に繋がるか。

⑥雇用創出の視点

⇒企業の社会的責任の一つである雇用創出が失われ、責任を果たせなくならないか。

 

書き出してみると人間中心の設計が重要であり、人を幸せにするためにシステム(技術)を活用するんだと感じました。単純に人にしかできない視点だけで人に仕事を任せるだけでは事業の成長にいずれ支障をきたしてしまうと考えます。

 



まとめ

会社の各業務概要や部署の全体像を知る事で、自分が所属している部署や担当している作業が会社全体で見た時に、どこに位置しているのか、扱っている情報はどこから入ってきて連携や変換、蓄積されて、そこにはどんな部署や人、システム、技術が関わっているのか、自分の後はどのように処理されるのか、概要からでも抑えておく事で、広い視点で業務改善が行えるようになったり、後続処理で問題になる事に未然に気付けたりすることができます。

 

人もシステムも業務は基本「インプット⇒処理⇒アウトプット」の構造になっており、前後を気にする事が創意工夫するために重要な事です。そうする事でアウトプットで必要な情報は何かを明らかにして、本当に必要な情報を揃える作業に集中する事が可能になり、生産性を向上させることに繋がります。可能であれば、プロセスの最終地点で誰(顧客や投資家、経営判断)のための作業なのかまで抑えるのがお勧めです。

 

第3章について

次は「人の働き方とシステム開発の変化、BPR・BPM・DXの違い」について、説明していきます。第1章で会社のシステムアーキテクチャ(構成)の歴史と第2章で会社全体、他の部署との関連性やデータの流れの概要を抑える事で第3章での改革、改善活動の取り組みの意味や考え方、具体的なやり方への理解度が高くなっていると思います。

 

第3章は作成中、、、

 

 

参考サイト

産業の定義。産業は企業の集合体である。 (fujitsubame.com)

経営の原理原則その1 「会社とは何か」 : ビジネスとIT活用に役立つ情報 (asobou.co.jp)

会社法に違反する行為とは? 罪に問われる行為や罰則、逮捕の可能性を解説 (vbest.jp)

ISO26000 (国際標準化機構の社会的責任規格) | CSOネットワーク

総務省|統計基準等|日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)-目次 (soumu.go.jp)

会社や法人、企業の違い - 社会人の教科書

部・課・室・係など組織図の種類と違い - 社会人の教科書 (business-textbooks.com)

キーコントロール(統制上の要点)/オペレーショナルリスクに関する用語一覧|オペレーショナルリスク|デロイト トーマツ グループ|Deloitte

ビジネスプロセスの教科書 こぼれ話第1回:ビジネスプロセスは業務プロセスじゃない! | CLOVER Light (lt-s.jp)